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平成28年度税制改正大綱にみる中小法人の今後

毎年12月は、翌年度の税制改正大綱(以下、「税制大綱」)が発表されます。税制大綱とは、時の与党が翌年度の税制をどのようにするか話し合い、まとめたものです。平成27年末は自由民主党と公明党がその役割を担いました。
ところで、27年末に発表された28年度の税制大綱を読むと、中小法人にとっては、厳しい対応が迫られる可能性が生じるというか、中小法人は、弱者であり守られるべき存在から、収益力が劣るのであれば切り捨てられる存在へと、考え方が変わりつつある。そのような気がしております。
そう感じるのは、税制大綱の中に、このような文言があるからです。「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」。
税率を引き下げるというのは一見、ありがたいように感じます。テレビのニュース等でも、「法人実効税率が引き下げられる」といった報道がなされ、中小法人にとっても追い風のように映ります。ちなみに、法人実効税率とは、国税と地方税を合わせた総称であり、それが引き下げられるといわれているのですが、これには裏があります。
「日本は少子高齢化する中で、社会保障を充実させるうえで税金が不足している」といった話は、よく聞かれます。消費増税も、まさに税不足が原因であります。そのような中で、なぜ法人実効税率が引き下げられるのか。法人税と消費税の議論においては、相反しているように思えます。この矛盾が、先ほど申し上げた、「課税ベースの拡大」という話につながっていくわけです。
我々と企業経営者との間によく出てくる話の中に、「赤字でも黒字でも、最低7万円はかかります」というものがあります。これは、国税にあたる「法人税」の話ではなく、「地方税」の話です。支払う側にしてみれば、その税が国税なのか地方税なのかではなく、「いくら支払うか」に興味関心が集まります。それゆえに、我々は、税の行き先の説明を深くすることなく、納税額の話が中心となりがちです。
この地方税について、税制大綱には、このように書かれております。「法人事業税の外形標準課税の段階的拡大」と。
税には、2つの考え方があります。「応能負担」と「応益負担」です。
応能負担とは、儲かった分だけ、税を納める能力があるという考え方であり、これが国税である法人税の発想でもあります。他方、「応益負担」とは、そこで行政サービスを受け、直接的・間接的を問わず様々な利益を得ているのであるならば、それに見合う対価を支払うべきであるとする考え方であり、これが地方税の発想であります。
この地方税負担を、もっと広く多く、企業に求めて生きたいとする考え方こそが、「課税ベースの拡大」であり、その課税方法に、「外形標準課税」という、事務所の床面積や従業員数といった、すでに大企業で実施されている考え方を、国は中小法人に当てはめていこうとしているわけです。
つまり、3割の黒字法人に税負担が偏った現況を再考し、7割の赤字法人を含め広く多くの法人に課税を強化することにより目標とする税収を確保できれば、法人実効税率を下げられるということであり、結果として、収益力の劣る法人は税負担に耐えきれず市場から脱落していくというわけです。
(この文面は、話を簡潔に解りやすくするために、税の仕組み等の詳細は端折っている点があることをご留意ください)



平成28年2月号 業務1課  落合 正博